閑散が得意技の鳥取市の店が、突如大人気に見舞われている。全国で一番最後にオープンしたコーヒーショップの、「スタバ、鳥取店」。オープン４日目の午後、往診で店の前を通ったが、人は列をなして並び、警備員は数名おり報道関係者も全国から集まっているようなのだ。
ぼくがコーヒーを好むようになったのは30才を過ぎて。それまでは、紅茶の底に残った砂糖を舐めるのが好きだった。緊張する時、コーヒーが体に合うようになった。コクありの苦味が効いた。出張先で、スタバによく寄った。カフェテラス風の店構えのとこもあって、読書したり、考え事をした。
新装スタバ鳥取店に１０００人並んだ、と報じられた時、「鳥取県民全員が並んだのか」というツイッターが紹介された。オイオイと思ったが、「上手い、座布団一枚、トレ」と思った。徹夜で並んで一番乗りした大学生が注文したメニューが紹介された。「ストロベリークリームフラペチーノ」。オイオイ、コーヒーじゃないんかい、と思った。
翌朝、突然、農家の患者さんの家から電話がかかった。「今年もなったよ。穫りに来て下さいよ」。忙しいはずなのに、車は向かう。家は閉まっていた。きっと畑だ。いた。麦わら帽子に手ぬぐいで頬かむりで長靴の80才の農婦。
何列もの畝があり、白玉ネギ通り、紫玉ネギ通り、空豆通り、そしてストロベリー通りがある。「さあ、穫りんさい」。収穫のコツを教わり、「もうこれで十分です」と言いながら、積極的に掘ったりちぎったり。「食べてみて」とストロベリーの畝で。形は不揃い、色も不揃い。炎天下の真赤なのを一つ取った。畑の真中であったかい、いちごの赤い甘味が広がった。「ホットストロベリーオイチーノ」、と新メニューが浮かんだ。
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